パーライト可鍛鋳鉄、または鍛造材等を使用し、弁との接触部には表面硬化処理を施してある。 2・59図 弁腕
(2)点検と整備 弁棒端との接触面を点検し、段付き摩耗、条痕のある場合は、油砥石またはグラインダで曲面を正しく修正する。ただし摩耗が著しく修正量が大きくなる場合は必ず交換する。 弁腕軸受メタルの摩耗を点検する。メタル内径をシリンダゲージで測定し、軸との間隙が、メーカの指示した使用限度以上の場合は、メタルまたは、弁腕ごと交換する。 また、弁腕軸の外径をマイクロメータで測定し、使用限度以上に摩耗している場合は交換する。 弁腕軸の曲りをダイヤルゲージで測定する。曲りの有るものは交換する。 4)弁ばね (1)構造と機能 弁ばねは、弁と弁座を密着させ、圧縮、燃焼によるシリンダ内の圧力より高い密封圧力を弁座の当り面に与えると同時に、機関最高回転速度時においてもカムの運動を忠実に弁に伝え、弁腕、弁押し棒を介してタペットがカム面から離れぬようにする。 ばね力が不十分の場合、弁の運動がカムのリフトどおりに作動せず弁の開閉時期に狂いを生じ、機関出力の低下原因となる、またタペットが急激にカム面と衝突し打音を発生することもある。逆に、弁ばね力が強すぎる場合弁座シートおよび弁シート面の摩耗、損傷を早めることになるので、弁ばねの設計には十分な考慮がはらわれている。弁ばねは、通常円形断面の鋼線を巻いたコイルスプリングを用い、1個の弁に対して1個または数個取付けられている。 最近の高速機関には高速回転時の弁のおどり、およびサージング等の異常現象を防止し、弁系統の耐久性向上、騒音の低減などに効果のある多重スプリングおよび2・60図に示すような不等ピッチスプリングが使用されている。 弁ばねの材料として通常使用されるのはピアノ線、オイルテンパ線などである。ピアノ線は冷間加工硬化した素材から製作されるが、オイルテンパ線は成型後熱処理を
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